禁酒日のすすめ①
「フフ……へただなあ、カイジくん。へたっぴさ……..!欲望の解放のさせ方がへた….。カイジくんが本当に欲しいのは…こっち(焼き鳥)……これを下のレンジでチンして….ホッカホッカにしてさ……冷えたビールで飲りたい……!だろ….?」
言わずと知れた名作漫画『賭博破戒録カイジ』の、大槻班長の名言。
わたくしは禁酒日の度にこのセリフを思い出す。
大槻班長の誘惑に負け、ビールを1ヶ月ぶりに飲んでしまうカイジ。
「犯罪的だ・・・!うますぎるっ・・・!労働のほてりと、部屋の熱気で、暑苦しい体に1ヶ月ぶりのビール。染み込んできやがる!体に!ぐっ・・・・!溶けそうだ!」
ビールの喜びをここまで秀逸に表現したシーンもないだろう。お酒をたしなむ人であれば誰しも共感を覚える愉悦の瞬間。
地元に着いて、電車を降り、無機質な駅のコンコースを辿る禁酒日の家路、「今日俺は、カイジのように負けてしまうのかな。」と独りごちるのは常のこと。わたくしのような労働者にとって、仕事後の一杯というのはそれほどまでに魅惑的なものなのだ。
アルコールの魅力その1「炭酸」心のお掃除
この炭酸というやつが問題だ。ビールでもいい、焼酎のソーダ割りでもいい、ハイボールでもいい。シュワシュワとグラスの表面に微かなミストを立ち昇らせて、聴覚にも視覚にも涼しげな佇まい。口に含むと、そう、カイジは溶けそうになり、わたくしは、、、何かがリセットされる。炭酸のシュワシュワがお酒の持つ味の成分・ミネラル分を口の中でスパークさせ、それらから発される味覚の信号に、わたくしの脳の情報処理が追いつかなくなる。そこでわたしは情報処理を放棄する。その他もろもろと一緒に。脳のワーキングメモリに残留していた思念のゴミも、お酒と一緒に流してしまうのだ。体のためには禁酒した方がいいに決まっている。しかし、お酒を飲まないと脳と心のお掃除ができていない感じがして、かえって体に悪いような気になってしまうのだ。だから禁酒日を守れない。
禁酒日にはいくつかの難敵がいるが、まずはこの、帰宅してからの一杯、炭酸系酒類の愉悦を我慢ししのぎ切る必要がある。
以前はウィルキンソンなどのただの炭酸水を飲んで、ビールなどの代替品としていたのだが、ほんとに疲れている時や、熱く体のほてっているときには、これらだけではわたくしの禁酒を達成することはできなかった。
あ、寝る時間だ。明日へ続く・・・。